2010年2月に、160年以上の歴史を誇るイギリスの日曜大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドが組織的に有名人の携帯電話を盗聴していた疑いが再浮上し、犯罪被害者とその家族など一般人への盗聴疑惑も発生した。06年に同紙の記者が王室の主要スタッフの携帯電話の盗聴疑惑で逮捕され、有罪判決を受けたことがあり、その後もこうした盗聴が続いていたことはイギリス社会に衝撃を与えた。さらに疑惑は他の系列紙にも及んでおり、逮捕された元編集長が11年1月までキャメロン首相官邸の報道担当であったことから、首相の任命責任のみならず、政局に対する情報操作の疑いまでが生じた。イギリス社会の厳しい批判にさらされた同紙は廃刊を決め、11年7月10日付の紙面をもって、168年の歴史を終えた。同紙はメディア王ルパート・マードックが所有するアメリカのメディア大手、ニューズ・コーポレーションの傘下にあり、マードックによるメディア帝国の事業展開にも影響が出始めている。