2010年11月4日、尖閣諸島沖での中国漁船衝突の模様を記録したビデオ映像が、インターネットの動画サイト「ユーチューブ」に投稿されていたことが判明した。投稿映像は6本で、1本の長さは2分半から11分半で、計約44分。同月10日、映像投稿者は神戸市内の第5管区海上保安本部所属の巡視艇「うらなみ」主任航海士である男性海上保安官(43歳)であることが明らかにされた。中国漁船衝突映像の流出経路に関する調査から、海上保安庁の映像管理体制に組織的欠陥があり、とくに事件の初期段階で映像にどれだけ「秘密性」を与えていたのかを疑問視させるほどのずさんさであった。事件当初は、男性海上保安官には国家公務員法における守秘義務違反の容疑で懲戒免職が検討されたが、中国漁船の船長が釈放されたことによって世論の批判が高まり、12月22日、海上保安庁は映像を流出させた元海上保安官を停職処分とし、依願退職でけりがついた。その後、11年1月、元海上保安官は起訴猶予処分となった。