アメリカ中央情報局(CIA)の元職員で、アメリカ国家安全保障局(NSA)の外部契約社員もしていたエドワード・スノーデン容疑者(30)が、NSAの極秘情報収集活動を暴露し、オバマ政権の外交に打撃を与えた事件。スノーデン容疑者は香港滞在中の2013年6月上旬に、NSAがインターネットの監視システム「プリズム」を使って、テロ対策として極秘に大量の個人情報を収集していたことを、イギリスのガーディアン紙など複数の新聞社に暴露したとしてアメリカ政府からスパイ活動などの罪で訴追された。このことからモスクワに移動し、計21カ国に亡命を申請したが受理されずにモスクワ空港にとどまっていたが、8月1日にロシア当局から期間1年の臨時亡命許可を受けて同国に入国、11月1日からロシアのインターネット関連企業に就職した。またスノーデン容疑者は、NSAが09年にロンドンで開かれた20カ国・地域の首脳会合(G20)などで、各国代表団の電話や電子メールを傍受したことや、ドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していたことなどを次々と暴露。アメリカによる通信傍受が友好国首脳に及んだことから、メルケル首相の「友人同士で盗聴を行うのは許せない」という発言まで飛び出した。この事件によって、オバマ政権はNSAの極秘情報収集活動を認め、安全保障戦略の見直しに迫られ、14年1月17日の演説では密接な関係にある同盟国、友好国の首脳と政府の通信は監視しないと約束した。