昭和天皇(1901年~89年)の誕生から逝去までの動静を、皇室ばかりでなく、政治、社会、文化、外交など、およそ天皇が関わられた出来事のすべてを記録した、昭和天皇に関して唯一の公式記録集。宮内庁が編さんした。全61冊、計約1万2000ページ、編さん作業は24年に及び、過去の天皇の実録のなかで最長となった。2014年8月21日、今上天皇、皇后に献上された。情報公開請求の対象になる行政文書で、15年3月から5年計画で全巻刊行される。「実録」は、古代中国の制度を模範に奈良時代から平安時代にかけて「日本書紀」や「続日本紀」などが編さんされた経緯があり、明治時代になって政府による編さんが再開され、孝明、明治、大正の三代の天皇、昭憲皇太后(明治天皇の皇后)、貞明皇后(大正天皇の皇后)の各実録のほか、神武天皇から孝明天皇までの「天皇皇族実録」などがある。「大正天皇実録」では、公表時に天皇個人に関わる箇所に「黒塗り」があり批判が出たことから、「昭和天皇実録」では黒塗りにしないという方針で編さん作業が行われた。昭和史研究において解明できていない情報がどれだけ盛り込まれているかが期待されている。