行政改革は、財政難に陥った国や自治体が、行政の効率化のために、業務委託などの民間の経営管理手法を導入する新公共経営(NPM New Public Management)の考え方に基づく。最近では、単に民間委託するだけでなく官も運営にかかわることでチェック機能を働かせ、公共サービスの経営に市民も参加して住民の望むニーズの実現を狙うパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP Public Private Partnership)の手法も注目されている。これに対して「公共の再編」論では「官民」という枠組みそのものを再構築し、自治会、ボランティア、NPO、コミュニティー・ビジネスといった市民社会組織までも公共性の正当な担い手と位置づけて、その時々で最適の主体が統治の任(ガバナンス)にあたる公・共・私型社会を想定している。そして、公共的課題の解決にあたっては、NPMやPPPが想定する行政や民間企業に、市民社会を加えた三極の協働から、ローカル・オプティマム(地域ごとの最適化)を図る。福井・岐阜・三重・滋賀の4県共同の研究会では、県の主な一般事務約1120事業ごとに、「共」への展開可能性を具体的に分析している。