市民から無作為に選ばれた裁判員が、殺人、傷害致死などの重大事件の刑事裁判で、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と協働して決める制度。「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(2004年5月成立・公布)に基づき、09年5月から始まった。裁判員に選任されれば原則として拒否することはできず、一般市民の感覚が裁判の内容に確実に反映され、司法への市民参画・協働が大きく進む。市民活動のとらえ方には、公共への参画を権利として保証する自由主義の立場と、共和主義の立場から公共への参画を市民的責務と見なす考え方がある。裁判員制度は共和主義の代表例である。06年12月の内閣府や08年1~2月の最高裁の意識調査では、参加に肯定的なのは6割程度である。裁判員制度の運用が実際にはどうなるのかは、市民自治や市民主権に伴う責務を市民自身はどれだけ担う覚悟や実力があるのかを問う試金石と見なすこともできる。