特定の地域で、成員のもつサービスや財の交換を促進するためにNPOなどの市民団体によって運営される任意の通貨。1990年代に登場し、世界中で2500種類以上の地域通貨が利用されている。(1)イギリスなどで不況・低所得者対策として始められ、商品やサービスとの交換可能なLETS(Local Exchange and Trading System 地域交換取引システム)、(2)住民同士の間で環境・福祉・教育・文化活動の交換を保障する日本のエコマネー、(3)マイノリティー・コミュニティーにおける介護や福祉サービスを対象としたアメリカのタイムダラー(時間預託)などが代表例である。通常の貨幣が貨幣経済と債権債務関係に依拠するのに対し、(1)は貨幣経済と信頼関係、(2)は環境・福祉・教育・文化などの非貨幣経済と信頼関係、そして(3)は非貨幣経済と債権債務関係の結合というように、それぞれに相違はあるものの、自立分散型のコミュニティーに基盤を置き、市場経済以外の原理に基づく新しい人間関係の創生という目標を共有している。