原義はラテン語の「欲する」を意味する動詞voloから派生した名詞voluntasに由来し、非職業的な立場から社会問題への理解・共感をもとに、内面的な良心に促されて市民主導で問題解決の活動に従事する人や行為を指す。17世紀中期のピューリタン革命で全土が混乱状態となったイギリスにおける、自分たちの村や町を守る「自警団への参加者」が原義。18世紀には世界中に展開した植民地を守る大英帝国軍への「志願兵」へと意味が拡大した。「貧困問題への戦いに自ら志願する者」という今日的な意味に近くなったのは19世紀後半から。さらに同時期のイギリスでは、公教育の第一の担い手を親や教会とし、国家は経済的援助・支援にとどまり教育の中身には干渉しないとするボランタリズム原則が確立した。日本では、関東大震災後、大正年間に東京本所で産声をあげた帝大セツルメント活動を通じてボランティアの語は広まったが、(1)社会問題への理解・共感をもとに非職業的で内面的な良心の促しに基づきつつ、(2)国家の関与を極力抑えて市民組織や団体主導で問題解決に取り組む、という二つの原理が受け継がれて、今日的な用法が確立した。