社会関係資本。あまり面識のない人同士の間にも、共通の目標に向けて協調行動を促すことにより、社会の効率を高め、成長や開発、持続にとって有用に働く社会関係上の資源のこと。アメリカの政治学者R.パットナムは、他者との間の信頼、互恵的な規範、対等で開放的な市民参加といった特徴が社会に蓄積されているほど、行政の効率や信頼が高くなることを、イタリアの地方自治体やアメリカの各州比較調査を基に実証した。日本では、途上国への開発援助の新たな留意点として、また国内的には市民活動の活性化との関連性から、注目を集めるようになった。2002年度の内閣府の委託研究によれば、共同体的な人間関係が維持され、ソーシャル・キャピタルが豊かな地域ほど、失業率や犯罪率が低く、また出生率は高い。都市に人口が集中している地域では、ソーシャル・キャピタルは低くなるが、その一方でNPO設立など新たな市民参画の機運が高まっている。これは、都市における新たなソーシャル・キャピタルの形成を示唆するものかもしれない。