古代ローマ皇帝アウグストゥスに仕えたマエケナスが詩人や芸術家を手厚く擁護・支援した故事に由来するフランス語。日本では1990年の企業メセナ協議会設立の際に、擁護者や支援者を指す語として「スポンサー」や「パトロン」ではなく「メセナ」を採用したことから、企業が行う芸術文化支援を指す言葉として定着した。企業メセナ協議会は、国税庁より特定公益増進法人の認定を受けているため、寄付する企業には寄付金を損金扱いできる税制上のメリットがあり、芸術文化活動の支援で大きな貢献を行った。メセナは芸術文化支援における企業フィランソロピー活動であり、同じく90年に経団連(当時)に1%クラブが設立されたことを踏まえて、町人が大阪の運河や橋を建立した江戸期や、大阪中之島に公会堂や図書館が、阪神間に多くの美術館が寄贈された戦前期に並ぶ、日本のフィランソロピー活動のルネサンスの年と捉える識者もいる。