海洋汚染は海を介して周辺の国々や海域へ広範な影響を及ぼす。特に閉鎖性海域では、赤潮発生や重金属などの有害物質汚染が広がっている。大型タンカーの航行や海底油田開発に伴う汚染も頻発。1997年1月に日本海で発生したナホトカ号油流出事故は、福井県沿岸を中心に生態系や漁業に深刻な被害を与えた。国際的取り組みの枠組みには、陸上で発生した廃棄物の船舶等からの海洋投棄を規制するロンドンダンピング条約、船舶等からの油、有害液体物質および廃棄物の排出や船舶の構造・設備等を規制する海洋汚染防止のためのMARPOL73/78条約(マルポール73/78条約)などがある。日本では海洋汚染防止法に基づく船舶からの油の排出規制、空荷の船舶の重しとして積載する海水であるバラスト水(寄港地で排水)を含めた有害液体物質等の排出規制などが行われている。2007年4月施行の改正海洋汚染防止法により、海域での船舶からの廃棄物排出は原則禁止となり、特定の廃棄物の海洋投入処分には環境大臣の許可が必要となった。