地上15~50kmの成層圏にオゾンが濃く滞留している層。オゾン層が破壊されると、地上に到達する有害な紫外線が増加し、皮膚がんや白内障等の健康被害の発生、植物やプランクトンの成育障害などが懸念される。南極で成層圏オゾンの濃度が著しく減少し、穴の開いたように周辺と比べて低濃度の場所が生じるオゾンホールの存在が1985年末に発表され、オゾン層破壊の現実化として世界に衝撃を与えた。オゾン層保護のための国際的枠組みとして、(1)オゾン層保護のためのウィーン条約、(2)オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書がある。(1)は1985年に採択。(2)は87年に採択され、旧世代フロンHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の2030年までの全廃など、オゾン層破壊物質の生産削減等の規制措置を定めている。世界的な排出規制により大気中の特定フロンの量は減少に転じたが、オゾン層の回復には今後数十年かかると推計されている。