東北大学選鉱製錬研究所の南條道夫氏が提唱した概念。都市から出てくる廃棄物にはさまざまな金属が含まれている。そこで都市を鉱山と考えて、これらの製品が廃棄物となった時にリサイクルしていこうとする考え方から生まれた言葉。鉄くずや銅、アルミなどは量的にも多く、精錬済みの純度の高い原料として産業が長く使ってきた歴史のある再生資源である。しかし、最近注目されているのは金、銀などの高価な貴金属や、希少なレアメタルと呼ばれる、コバルト、アンチモン、ネオジム、リチウム、インジウムなどの金属。都市で大量に廃棄される家電製品やパソコンなど事務機器の電子部品などには、これらの金属が使用されている。独立行政法人国立環境研究所の循環型社会・廃棄物研究センターによると、パソコンの基板1トンには約140グラムの金が含まれている。独立行政法人物質・材料研究機構の推計によると、日本が「都市鉱山」として保有している主な金属の量は、金は約6800トンで世界の現有埋蔵量の約16%、銀は6万トンで22%、インジウム61%、スズ11%、タンタル10%と、いずれも世界の埋蔵量の1割を超える。資源を大量に輸入している日本は、リサイクルの仕組みがあれば、世界有数の都市鉱山を持つ資源国というわけである。