東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の拡散による環境の汚染による人の健康または生活環境への影響を速やかに軽減することを目的とし、2011年8月30日に公布された(12年1月1日全面施行)。国、地方公共団体、関係原子力事業者等が講ずべき措置等について定めている。原発事故後大量の放射性物質が福島県だけでなく近県にも飛散したため、除染した表土や農作物その他の汚染廃棄物が大量に発生している。今回大量に飛散したことが明らかにされているヨウ素131は半減期が8日と非常に短いが、気体となって拡散しやすく、大量に吸い込むと数年後から10年後に甲状腺がんを発症することがチェルノブイリで確認されている。またセシウム137も揮発しやすく目に見えない放射能雲となって広域に拡散しているとみられるが、半減期は30年で、放射性ヨウ素がほぼ消滅した後も長く残るので、一定水準以上に汚染された表土を速やかに除去する必要がある。また福島原発のプルサーマル炉で利用されているMOS燃料に多く含まれるプルトニウム239は揮発性が低く大気中には飛散しにくいが、今後損壊した施設、建屋の処分に伴って大量に発生すると考えられる。プルトニウムは猛毒性もあり、半減期は2万4千年と半永久的である。このため汚染廃棄物の処理には迅速かつ慎重な対応が必要であるが、福島以外の場所に整備することになっている中間処理施設もまだ全くめどが立っていない。