農作物や人への野生動物による被害を防ぐために使役される犬。サルは知能程度が高く、電気柵などの単純な方法では効果が持続しないことが多い。また人間より運動能力が高いため、とくに高齢者や子どもに対しては威嚇的行動をとって危険でもある。もともとニホンザルの天敵はニホンオオカミであったと言われており、サル対策としてオオカミを山に放つ方法を提唱している人もいるが、オオカミが人や家畜を襲うことになっては、本末転倒の結果になってしまう。そこで、運動能力や嗅覚に優れ、平地ではサルよりも機敏に行動できて、訓練もしやすい犬をサル追い払いに活用する方法も試行されている。モンキードッグはハンドラー(犬を扱う専門家)が対応する事例が多いが、長野県大町市の「モンキードッグ」や、山梨県の「里守り犬プロジェクト」など、果樹農家が自分で飼育している犬を使いこなすことで被害防止に成果を上げている事例もある。軽井沢町では民家近くにクマが出没するので、クマ対策用に声の大きなベアドッグを利用している。鳥獣対策の一環として犬を活用する自治体は2005年以降農水省の補助対象となって増加していたが、12年に補助が打ち切られると減少した。犬の能力を利用するために放し飼いをしようという意見もあるが、動物愛護法以後、犬の放し飼いが禁止されて20年以上経過した現在では、地域社会で様々な人や犬、その他の動物と共存する経験のない犬をしつけや訓練もしないまま放すと、咬傷事故などトラブルのリスクが非常に高いので危険だ。