気候変動に関する科学的知見をレビューする国連組織のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)がとりまとめている第5次の評価報告書。IPCCは、2013年9月にスウェーデンのストックホルムで第5次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の政策決定者向け要約を承認・公表した。今後、14年3月にIPCC第38回総会(横浜)で第2作業部会報告書、4月の第39回総会(ベルリン)で第3作業部会報告書、10月の第40回総会(コペンハーゲン)で第5次評価報告書の統合報告書が公表される予定である。第1作業部会報告書は、07年の第4次評価報告書以来6年ぶりとなるもので、この間に出された新たな研究成果に基づく、地球温暖化に関する自然科学的根拠の最新の知見がとりまとめられている。今後この報告書は、気候変動に関する国際連合枠組条約をはじめとする、地球温暖化対策のためのさまざまな議論に科学的根拠を与える重要な資料となる。報告書の最大のポイントは、「20世紀半ば以降に観測された温暖化の主な原因は(化石燃料を燃やすなどの)人間活動であった可能性が極めて高い(95%以上)」と指摘し、前回の「非常に高い(90%以上)」よりさらに踏み込んだ点である。また、干ばつや豪雨、熱波、竜巻などの世界各地での頻発は温暖化が原因とみられるとし、「世界平均地上気温の上昇に伴って、ほとんどの陸上で極端な高温の頻度が増加することはほぼ確実である。中緯度の大陸のほとんどと湿潤な熱帯域において、今世紀末までに極端な降水がより強く、頻繁となる可能性が非常に高い」として、気候変動に伴うリスクを警告している。