気候変動による様々な影響に対し適応するための政府全体として整合性のとれた取り組みを総合的かつ計画的に推進するための計画。日本では2015年11月25日、「気候変動の影響への適応計画」が閣議決定された。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書においては、気候変動の影響に対処するため、温室効果ガスの排出の抑制などを行う「緩和」だけではなく、すでに現れている影響や中長期的に避けられない影響に対して「適応」を進めることが求められている。我が国においても、気温の上昇や大雨の頻度の増加、降水日数の減少、海面水温の上昇などが現れており、高温による農作物の品質低下、動植物の分布域の変化など、気候変動の影響がすでに顕在化していることが示された。また、将来は、さらなる気温の上昇や大雨の頻度の増加、降水日数の減少、海面水温の上昇に加え、大雨による降水量の増加、台風の最大強度の増加、海面の上昇等が生じ、農業、林業、水産業、水環境、水資源、自然生態系、自然災害、健康などの様々な面で多様な影響が生じる可能性があることが明らかとなった。こうした気候変動による様々な影響に対し、政府全体として、全体で整合のとれた取り組みを計画的かつ総合的に推進するため、目指すべき社会の姿などの基本的な方針、基本的な進め方、分野別施策の基本的方向、基盤的・国際的施策を定めた、政府として初の気候変動の影響への適応計画を策定したのである。本計画は、気候変動の影響による被害を最小化あるいは回避し、迅速に回復できる、安全・安心で持続可能な社会の構築を目指すものである。