大きさ5ミリ以下のプラスチック。プラスチックが波や紫外線の作用で砕かれて、マイクロプラスチックになる。動物プランクトンと同程度の大きさのこの小さなプラスチックの破片が海洋中に漂い、問題になっている。世界中から海に流れ出るプラスチックの量は、推計最大1300万トン、海洋ごみの約70%を占めるといわれている。海鳥がマイクロプラスチックを誤飲することで、消化管が傷ついたり、詰まったり、栄養失調の原因になるなどの物理的な障害が生じている。また、プラスチックには油に溶けやすい化学物質を吸着する性質があるため、マイクロプラスチックそのものに残留している添加剤などの化学物質に加えて、海中のポリ塩化ビフェニルなどの残留性有機汚染物質(POPs)なども海鳥や魚介類の体内に取り込まれ、有害化学物質が臓器などで濃縮されて蓄積している事例の報告もある。海洋生態系への影響のほか、魚介類を食べる人の内分泌かく乱など、健康への影響も懸念されるが、まだその詳細は不明である。2015年のG7でも、マイクロプラスチックの問題は世界的課題だと指摘され、首脳宣言で取り上げられた。 環境省が14年度に行った日本の沖合海域における漂流・海底ごみ実態調査では、マイクロプラスチックが一定の密度で確認されている。沿岸域における実態調査でもプラスチックの製造過程で難燃剤として添加されるポリ臭化ジフェニルエーテルや、漂流中に表面に吸着したポリ塩化ビフェニルがマイクロプラスチックから比較的高い濃度で検出されたと発表した。