浮遊したプラスチックなどの破片が北太平洋循環の海流に閉ざされ、大規模に集中している海域。北太平洋の中央(およそ西経135度から155度、北緯35度から42度の範囲)にあり、その規模は70万平方キロメートルから1500万平方キロメートル。太平洋全体の0.41~8.1%で、ゴミの総量は1億トンと推定されており、テキサス州の約2倍、日本の国土面積の4倍にもなる。このような海域は、太平洋以外にも、大西洋やインド洋などにもみられる。海流域周辺の日本、ロシア、カナダ、アメリカなどから廃棄されたごみや、海流域を航行中の船舶から投棄されるごみが、海流の影響で1カ所に集中し、1950年ごろから今の姿に成長してきたといわれる。陸からのごみが約8割、船舶由来のものが約2割とも推定されたデータもある。太平洋ごみベルトの存在は、日本海の調査結果に基づき、特定の海流のパターンに支配されている地域に高濃度の海洋ごみが集まることを推定した研究者らによって明らかにされ、類似した状況が太平洋の他の部分で起こると仮定し、特に北太平洋環流を指摘した。88年に、アメリカ海洋大気庁が公開した文書でも予測されている。実際のごみ域の存在は、アルガリタ海洋研究財団の創設者で、ヨットマンでもあるチャールズ・ムーアの論文により、広く注目を集めた。ムーアは、ヨットレースを終えて北太平洋を帰る途中に、莫大な漂流ごみの広がりを目の当たりにし、海洋学者のカーティス・エベスメイヤーにこの海域へ注意を払うよう促した。エベスメイヤーはこの海域を「Eastern Garbage Patch (EGP)」と命名した。 この海域は海洋汚染の深刻な事例としてしばしば取り上げられている。