正式名称は、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律。従来の鳥獣保護法が改正され、2014年5月公布、15年5月29日に完全施行された。略して鳥獣法ともいう。保護に限定せず有害鳥獣捕獲などを通じた地域の生活環境の保全、農林水産業又は生態系に関する被害の防止や狩猟に用いる猟具の使用に関する危険予防などの項目も盛り込まれ、野生鳥獣の「管理」という側面が、従来の目的よりも強調される形になった。農林水産業や住民生活への被害が深刻化してきていることから、野生鳥獣の個体数や生息域を、「適正な水準」に減少または縮小させることを目的として制定された。この法律に基づき、都道府県は国の施策と連携しつつ鳥獣保護管理事業計画や特定計画の作成により、科学的で、計画的な鳥獣保護管理の基本的な枠組みを構築し、施策を実施する。鳥獣の捕獲に関する法令は、1873年の鳥獣猟規則に始まり、95年旧・狩猟法が制定、さらに1918年に鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律が施行され、改正が続けられてきた。63年の同法の改正時には、これまでの「狩猟の適正化」に加え「鳥獣の保護」の精神も法律に反映された。さらに2002年に条文を全面的に改正して、平易な表現に改め、人間や動物の生活環境の多様化・複雑化などに対応する新法として制定された。新たな鳥獣保護管理法は有害鳥獣対策としてはまだ不十分という声が上がる一方、鳥獣保護の考えを後退させレジャーとしての狩猟や安易な駆除の促進を行うための悪法という声もある。