ダイベストメント(divestment)とは、投資(investment)の対義語で、すでに投資している金融資産を引き揚げることを意味する。その形式には、持株・自社事業売却に加え、融資引き揚げや停止も含まれる。気候変動問題との関連で近年注目されているのは、化石燃料産業や石炭産業からのダイベストメント(投資の脱炭素化)である。気候変動対策としての二酸化炭素の排出規制などにより、石炭などの化石燃料の多くが使用できなくなる可能性から、化石燃料関連資産を回収不能な「座礁資産」とする考え方が誕生した。たとえば化石燃料採掘会社が資産計上した確認埋蔵量や、化石燃料を利用する発電施設や投資額などである。2017年8月末時点において、世界で700を超える機関が何らかのダイベストメント方針を表明しており、それらの機関の運用総資産は5兆ドル近くにも上る。この中には、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)などの年金基金や、アクサ、アリアンツなどの大手保険会社の運用機関も含まれている。これらの多くは、単に倫理的観点のみから石炭関連企業を忌避するのではなく、ビジネス上の戦略として将来の財務リスクを軽減するためにダイベストメントを行っている。