1966年に国際自然保護連合( IUCN)が絶滅のおそれのある野生生物をリスト化し、まとめたもの。分布や生息状況を詳説した資料集が、危機を訴える意味で赤い表紙を用いていたことからレッドデータブックと呼ばれている。それを一覧形式でまとめたものを「レッドリスト」という。IUCNでは、絶滅の危険度により、次のカテゴリーに分類している。(1)絶滅(EX)/すでに絶滅したと考えられる種。(2) 野生絶滅(EW)/本来分布していなかった場所や飼育・栽培下でのみ存続している種。 (3)絶滅危惧IA類(CR)/ごく近い将来における野生での絶滅の危険性がきわめて高い種。 (4)絶滅危惧IB類(EN)/IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種。 (5) 絶滅危惧II類(VU)/絶滅の危険が増大している種。過去10年(または 3世代)で個体群が30~50%以上減少したものなど。(6)準絶滅危惧(NT)/現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種。(7) 軽度懸念(LC)/上記のいずれにも該当しない種。(8)情報不足(DD)/評価するための情報が不足している種。IUCNのレッドリストは2006年以降は毎年更新されている。レッドデータブックおよびレッドリストは世界各地で作成されており、日本では環境省が1991年に、陸域と陸水域のレッドデータブックを作成し、レッドリストを公表してきたほか、都道府県も同様の取り組みを行っている。環境省は2012年以降、海洋生物についてもリスト作成の作業を進め、17年から絶滅危惧種として56種類を公表した。