2012年1月30日に環境省中央環境審議会小委員会がまとめた、携帯電話やデジタルカメラ等のデジタル機器を中心とした小型家電96品目のリサイクル制度の在り方についての制度案。最近のデジタル機器の部品には、ベースメタルといわれる鉄や銅、アルミなどのほか、白金、金、銀などの貴金属、コバルト、アンチモン、ネオジウム、タンタル、リチウム、チタン、バナジウムなどの希少金属が使われており、その需要は今後ますます拡大するとみられているので、各国が戦略的資源として注目している。これまで小型家電は不燃ごみとして処理され、埋め立てに回ることが多かったが、リサイクルして希少金属を回収することが小型家電リサイクルの目的である。小型デジタル家電は重量当たりのレアメタルの比率が高いので、これらの製品の普及率が高い、日本をはじめとする先進国は、リサイクルの仕組みができることで、希少金属の大鉱脈をもつ都市鉱山を活用することができる。小型家電リサイクルが成功するためには、耐久消費財と食料品などの日常的な消費財の中間に位置し、かさばらないので退蔵されやすい小型家電の特性に適した回収ルートや回収方法の整備、レアメタル回収技術や公害防止技術の確立、輸入資源との競合に配慮した安定したリサイクル市場の形成など、解決すべき課題がいくつかある。2020年に開催される東京オリンピックでは金、銀、銅メダルを家電リサイクルで回収された資源を使おうというキャンペーンが行われている。