最近発達した人口学の分野の一つ。ミクロ経済学の消費者選択の理論を応用して出生力、結婚、家族の本格的経済分析を進めたのがベッカー(G.Becker)である。1960年の「出生力分析」と題する論文が契機となって多くの経済学者が出生力・家族形成の理論的構築とその実証に参加した。ベッカーらが出生力と所得の関係で導入した子どもの数と質のトレードオフの考え方、女子の就業が出産・育児活動にもたらす「機会費用」の概念は経済人口学発展のための有力な基礎となった。一方、イースタリン(R.Easterlin)は、出生力決定因子として需要サイドからの要因に加えて、供給サイド(生物学的条件)と出生抑制手段の器具薬品の入手性、費用を考慮した統合理論の構築を試みている。