パッシブとは、アクティブの反対語で、直訳すれば「受身の、消極的」といった意味になる。建築用語としては、エアコンなどの機械に頼るだけではなく、建物を取り巻く外部環境である太陽、風、空気を建物に取り入れて、建物内部の環境を良くする設計手法として使用される。たとえば、建物の南側には落葉樹を植えて、夏は日差しを防ぎ、冬は日差しをたっぷり取り入れる。北側には常緑樹を植えて、夏はそこから冷気を取り入れ、冬は北風を防ぐ。建物内には適切な開口部を設置して空気の流れをつくり、夏は暖まった空気を天窓などから逃がすことによって涼しくし、冬は南側に向いた部屋の暖かい空気を建物内に循環させて全体を暖かくするといった考え方になる。日本古来の庇(ひさし)、軒や欄間などの活用も広い意味でのパッシブデザインということができる。