2000年に施行された「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」で設置された制度。これに対して従来の借家権を「普通借家権」とし、「定期借家権」との使い分けが行われるようになった。最大の違いは、普通借家権では自分が住む必要があるなどの正当事由がない限り、貸主は借主に立ち退きを求めることができないが、定期借家権では2年などの契約期間満了時には原則的に契約が終了、更新されない点にある。原則的に契約の更新がないため、賃料は普通借家権に比べてかなり安く設定される。貸主からすれば、建て替えや次の利用が決まっているなどの場合には、多少賃料収入が減っても定期借家権で貸すのが安心で、特に別の用途への利用が決まっていない場合には、比較的高い家賃を設定できる普通借家権のほうが得策になる。一方、借主からすれば、短期間での移転を考えているのなら、定期借家権の賃料の安い物件を選び、比較的長く居住する可能性があるのなら、普通借家権の賃貸住宅を選ぶのが無難ということになる。