中高層ビルの構造は、原則的に鉄筋コンクリート造か鉄骨造のどちらかだが、最近は木造のビルが増えつつある。そのキーワードとなるのがCLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー)と呼ばれる集合材。繊維方向にそろえたラミナと呼ばれる板をクロスに重ねて接着剤で圧着した木材。日本語では「直交集成材」と訳される。板を直交に組み合わせているために収縮による寸法変化が少なく、コンクリートに匹敵する強度を持つ。梁(はり)や柱として使用するだけではなく、組み合わせによって床や壁にも使えるなど自由度が高い。欧米ではすでに20年以上の歴史を持ち、CLTによる8階建て、10階建てなどのマンションや施設なども珍しくない。工期の短縮、コストの削減効果が期待できる上、構造体は木材という再生可能で地球環境にもやさしい資源であり、林業振興によって地方再生の担い手にもなりうる。