2015年から相続税・贈与税の増税が実施されているが、なかでも、相続税増税は住宅・不動産業界に大きな影響を与えている。増税の柱は、最高税率の引き上げと基礎控除の引き下げ。最高税率は従来の50%が55%に引き上げられたが、影響を受けるのは相当な富裕層であり、一般庶民はさほど影響がない。しかし、基礎控除の引き下げはより多くの人に影響を及ぼしている。14年までの基礎控除は、相続1件当たり5000万円に相続人1人当たり1000万円だったのが、15年から1件当たり3000万円、1人当たり600万円に縮小され、3人で相続するときの基礎控除は8000万円から4800万円に減った。その結果、14年までの課税割合は全国平均で4%だったのが、15年以降は6%程度になるとしている。相続税評価額の半分近くを占める土地の価格が高い大都市圏では、その割合がもっと高くなる。東京23区では課税割合が20%を超えるとみられる。また、もう一つの大きな話題に、住宅ローン金利がある。15年より、住宅金融支援機構のフラット35や民間の住宅ローンは過去最低水準で推移していたが、16年1月には日銀によるマイナス金利の導入によって、空前の低金利時代へと突入している。金利1%の違いは、借入額3000万円、35年返済で毎月1万5000円ほどの差になり、年間では約18万円、35年間だと630万円もの差になるだけにその動向は住宅市場に大きな影響を与える。