人の死亡によって開始するもので、死亡した人の権利や義務など一切の財産上の地位を、主に家族などの親族が承継すること。死亡した人を被相続人、財産を承継できる一定範囲の人を相続人という。死亡には、通常の死亡の他に法律上の死亡とみなされる失踪(しっそう)宣告や認定死亡も含まれる。数人が死亡し、それぞれの死亡の前後が不明な場合を同時死亡といい、同時死亡者間で相続は発生しない。相続人となる者は、被相続人の子と直系尊属、兄弟姉妹および配偶者である。相続人が複数いる場合に、各相続人が財産を相続する割合を相続分という。相続人は、相続の放棄や、相続した財産に応じて債務を負担するという限定承認の手続きをしない限り、被相続人の財産をすべて引き継ぐことになる。承継される財産は、土地・建物などの不動産、現預金や株券などの金融商品、貸付金などの積極財産の他、借入金などの消極財産も含まれる。ただし、被相続人の一身に専属する各種資格や年金受給権などは承継されない。