2008年10月、伊藤ハムは、千葉県柏市の東京工場で使用している地下水から、水道法で定められている基準値の3倍を超えるシアン化合物を検出したとして、この汚染された地下水を使用して製造したウインナーソーセージやピザ13品目267万個のうち賞味期限が切れていない194万個を回収すると発表した。シアン化合物は、窒息症状やめまい、頭痛、けいれんなどを起こす化学物質。同社によると、同年9月に使用する3つの井戸のうち1つから基準値を超えるシアン化合物を検出したが製品を作り続け、10月にも別の井戸から基準値を超えるシアン化合物が検出されたため使用を中止した。10月23日、保健所に相談に行き、25日に発表した。汚染を知ってから1カ月以上たって消費者に知らされたことになる。翌26日、同社は日本生活協同組合などからの依頼で製造したプライベートブランドのウインナーソーセージも同様の問題があるとして追加で13品目64万個を回収すると発表した。同年12月、外部識者による調査対策委員会は、地下水の原水が汚染されているということは考えにくく、地下水を消毒するために使用していた次亜塩素酸ナトリウムの量を意図的に減らしていたためにシアン化合物が発生しやすい状況になったのではないかと報告している。同工場では地下水の利用を中止し、水道水に切り替えたほか、社内体制の見直しなどを図り、09年1月から一部稼働を再開した。