2009年7月、水俣病の未認定患者を救済する「水俣病被害者救済法」が成立、1995年の村山内閣時代に政治決着した水俣病の認定基準の「手や足の先ほどしびれが強い感覚障害」という症状に加え、今回成立した新法では、(1)全身のしびれ、(2)舌の識別異常、(3)口周辺の感覚障害、(4)視野狭窄のいずれかの症状がある人が救済の対象となった。水俣病の認定基準は、これまで3つの異なる基準が設定されていて、混乱を招いているが、今回新法で救済されるのは2万人以上といわれている。水俣病が公式認定されてからすでに53年が経過しており、患者は次第に高齢となり、まだ水俣病の患者かどうかを調査する不知火海全域での住民健康調査が行われておらず、潜在化した水俣病患者の救済は済んでいない。09年2月、ナイロビで開催されていた国連環境計画管理理事会は、国境を越えて汚染の広がりが心配される水銀を13年までに輸出を禁止する条約を成立させるという合意をした。日本政府も水俣病を経験した負の歴史を被害防止に結び付けるために条約の成立に積極的に賛成した。