2008年8月からサービスが開始されたグーグル社の「ストリートビュー」は、公開後からプライバシー侵害や撮影カメラの高度・角度、走行場所の適法性などを含めて議論を巻き起こした。公開後の事後対応において、自治体の相談窓口を同社サービスの苦情受付先と一方的に報じたり、同社電話対応窓口の回答がプレスリリースと矛盾していたなど、不信感を招いた。
5月の東京都情報公開・個人情報保護審議会、6月の総務省における研究会では、個人情報として識別される顔や住居表札へのモザイク対応を評価しつつ、処理不徹底な状況の解消に継続的努力が求められた。その他、撮影に際し道交法などの法令順守に努めること、著作物性のあるモニュメントなどが写り込む問題や下見などの犯罪利用可能性について、警察などで別途検討することが必要とされた。
また、一般市民の心情を踏まえた論点にも言及されており、法的問題のクリアがそのままサービスとして受け入れられるとは言えないとし、撮影予定情報提供や、容易な問い合わせ、画像削除体制などのフォロー強化、企業として社会的合意形成に一層の努力が強く求められた。これを受け、同社では、既撮影エリアにぼかし処理の徹底や、カメラ高度を落としての再撮影、画像削除や問い合わせ用の専用ダイヤル設置などの態勢を取りつつ、12月には福岡・広島などを新規追加し、提供エリアを国内22都道府県に拡大した。