2005年4月に起きたJR西日本鉄道福知山線脱線事故の原因調査を行い、07年6月に公表された国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の最終報告書案が、公表前にJR西日本に漏洩していたことが09年9月にわかった。情報を漏洩した山口浩一元委員は、JR西日本山崎正夫社長から「ATS(自動列車停止装置)があれば事故は防げた」の文言を削除するように求められたという。7月、神戸地検は、JR西日本社長を事故現場にATS設置を怠り、事故を発生させたとして業務上過失致死傷罪で在宅起訴をした。これを受けて社長は辞任した。10月、神戸第1検察審査会は、JR西日本の歴代社長3人を部下にATS整備を指示しなかった過失があるとして業務上過失致死傷容疑での起訴が相当との議決をした。何年も前から受け継がれてきた安全対策軽視の企業体質が、信楽高原鉄道正面衝突事故に次いで今回の大事故につながったものと思われる。