2010年10月11~15日、名古屋市で、生物多様性条約締約国会議(COP10)に先立ち、関連する国連のカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)が開催され、最終日に「名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択された。同議定書には、輸入した遺伝子組み換え生物によって、国内の在来種の生物の生態系が危機にさらされた場合、事業者に原状回復を求めることができることが盛り込まれた。かつて、遺伝子組み換え植物がもたらす健康への影響が不明ということで普及がなかなか進まなかったが、現在は、環境に優しいエネルギーとして大豆やトウモロコシなどが注目され、これらの生産量を増大させるために遺伝子組み換え作物が大規模に栽培されている。遺伝子組み換えの大豆は、世界の作付面積の約8割、トウモロコシは25%程度と推計されているが、正確な数量は不明。交雑の可能性も不明である。2000年、国連で「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」が採択され、遺伝子組み換え生物の使用による生物多様性への悪影響を防止することが定められた。これを受けて、03年、日本では「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」が公布され、農林水産省では、06~08年に輸入港周辺で、落ちこぼれた輸入ナタネによる在来種との交雑状況を調査した。同様の調査は、消費者団体でも毎年続けられている。