世界保健機関(WHO)総会は、2010年5月、「アルコールの有害な使用を減らす世界戦略指針」を採択した。WHO事務局の資料によれば、世界でアルコールの有害な使用により年間250万人が死亡し、このうち30歳以下の若者が13%、32万人を占めている。新興国や発展途上国では、生活水準の向上にともない、若者の過度な飲酒が社会問題化しており、日本でも飲酒運転による交通事故が深刻な社会問題となっている。指針には、過度な飲酒が原因の健康被害を防止するだけではなく、(1)飲酒運転の撲滅、(2)酒の販売規制、(3)酒の広告規制、(4)酒の販売価格の高額化、(5)泥酔者対策、などの10項目が盛り込まれている。なお、指針は法的な拘束力は持たず、具体的な対策などについては各国、各地域の自主性にゆだねられる。