2012年10月1日、消費者庁は、消費者が製品事故で被害にあった場合、事故原因を究明する専門の機関として「消費者安全調査委員会」を発足した。消費者事故調ともよばれる。国は、航空機や鉄道事故については専門機関として運輸安全委員会を設置し、事故原因の解明に当たってきたが、たとえば、こんにゃく入りゼリーによる死亡事故や玩具の誤飲事故、シュレッダーの指切り事故など、消費生活にかかわる事故の原因を究明する専門機関はなく、さらにテスト方法も未確立、安全基準も未設定のケースが多く、専門の研究者やテスト技術者についても育成されていないのが現状である。同委員会の委員長は、東京大学名誉教授で失敗学の提唱者である畑村洋太郎、委員は、松岡猛(宇都宮大学大学院教授)、片山登志子(弁護士)、中川丈久(神戸大学大学院教授)、細田聡(関東学院大学教授)、松永佳世子(藤田保健衛生大学教授)、丸井英二(人間総合科学大学教授)の6人。12年11月、初の調査案件として、05年11月、東京都で発生したガス湯沸かし器事故、06年6月、東京都で発生したエレベーター事故など5件を採択した。13年7月、「機械式立体駐車場の事故」を追加し、計6件となった。当初の計画では、年間100件の調査案件を予定したが、発足1年を経過してもまだ1件の調査も終了していない(13年9月末時点)。遅れている原因は、もともと選定された案件が複雑で難しい案件であること、必要な調査やテスト項目が予想外に多岐にわたりテスト量が多かったこと、委員全員が本職を兼ねていて多忙であり、事務局も20人体制では人員不足だったことなどが挙げられる。