プリペイドカードは、前払い形式で現金の代わりに利用できるカード。従来は、紙媒体の百貨店共通商品券やビール共通券などが主流だったが、昨今は9割がIC型になっている。さらに、管理サーバーでIDの照合を行い、利用者のカードには金額の記録のないサーバー型前払式支払手段も登場している。法律もこうした状況に対応するため、これまでの「前払式証票規制法」から、サーバー型も規制対象に加えた「資金決済法」(2009年公布)に変更・整備を行っている。そもそも、百貨店共通商品券などのプリペイドカードは、(1)購入者がギフト用として他人に渡すものであり、購入者と利用者が異なること、(2)匿名で使用されるため、落としたり紛失したりした場合、残額を使われてしまう可能性があること、(3)購入したプリペイドカードは法律上、換金できないことになっているが、現実にはRMT(real money trade)と称される現金化業者が存在し、換金が可能になっていること、などの特徴があり、譲渡性、匿名性、換金性が高い。その上、今後さらに多様なプリペイドカードが発行されることが予測されており、それに伴って新しい類型の消費者トラブルが発生するおそれもある。年間約90万件寄せられる消費生活相談の中では、プリペイドカード決済に関するトラブルは約150件(14年11月現在)とまだ少ないが、決済トラブルが発生したときの責任の所在がどこにあるのか、被害を回復することが現実としては困難であるなど、いまだ解決していない問題を数多く抱えており、早期のルール作りが求められている。