厚生労働省は、2014年11月、狩猟したイノシシやシカなどの野生鳥獣の肉による食中毒を予防するため、ジビエ(野生鳥獣肉)の衛生管理のガイドラインを公表した。正式名称は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」。生または加熱不十分な野生鳥獣の肉を食べると、E型肝炎(HEV)や腸管出血性大腸菌症(EHEC)の食中毒や寄生虫に感染するおそれがある。食中毒を予防するためには、肉の中心部までしっかりと加熱することが大切であり、さらに接触した器具をきちんと消毒し、取り扱いに注意することが不可欠である。E型肝炎は、人獣共通感染症と認識されている唯一の肝炎ウイルスであり、妊婦がHEVに感染すると激症化する率が高いことが知られている。03年、兵庫県で冷凍シカ肉を食べて4人がHEVを発症。同年、北海道で市販の生豚レバー肉からHEV遺伝子が検出されたという報告がある。05年、福岡県で野生のイノシシ肉を食べて1人がHEVを発症している。腸管出血性大腸菌症は死に至ることもあるため、こうしたリスクを回避するには、食肉処理業の許可を得た施設で処理された肉であることが重要である。