割賦販売に関する取引秩序の維持や、購入者の利益の保護などを目的とした法律。2016年2月、改正割賦販売法が成立し、同月施行された。割賦販売法は、「前払式割賦販売」「ローン提携販売」「包括信用購入あっせん」「個別信用購入あっせん」「前払式特定取引」についての規定が設けられているが、今までの改正と同様、今回の改正もトラブルの多い類型についての規制が強化された。「個別信用購入あっせん」(個別クレジット)業者が、「包括信用購入あっせん」(クレジットカード)業者と同様に登録制になり、さらに個別クレジット業者の加盟店に勧誘行為の問題が多いため、個別クレジット業者に加盟店の勧誘行為に関する調査義務が新たに課せられた。なお、個別クレジットとは、商品の購入ごとにクレジット会社の審査を受けて契約を結ぶ方式で、自動車などの高額商品で利用される。1998年頃から割賦販売法と特定商取引法との関連性が強くなり、以降、法改正時には両方の法律が一緒に議論されるようになった。特定商取引法では、2009年の法改正で取り入れられた「指定商品・指定役務制度」の廃止が、今回の割賦販売法の法改正で同法にも取り入れられ、不動産販売を除くすべての商品・役務がクレジット規制の対象になった。また、「割賦販売」の定義は、2カ月以上3回以上の支払いだが、トラブルが多いことから規制の対象を拡大し、翌月1回払い以外の1回払いも規制対象となった。また、訪問販売などで結ばれた個別クレジットは、今回の法改正で、直接個別クレジット業者にクーリング・オフを申し出ることができるようになった。従来、クレジット契約が解除されても、以降の支払いを免除されるに過ぎなかったが、今回の改正の画期的な点は、訪問販売などの販売類型に限られるものの、既払金の返還請求が法的に可能になったこと。ただし、実際に返還されるかは、同法の運用次第といえる。