納税者が住所地以外の地方団体に寄附した場合、所得税では所得控除、住民税では税額が控除される。寄附を受ける地方団体はふるさとに限定していないが、一般的にはふるさと納税と呼んでいる。たとえば5万2000円を地方団体に寄附した場合は、2000円を除いた5万円を所得税と住民税の計算で控除する。所得税の税率が20%の場合は1万円(5万円×20%)を所得税から控除し、または還付を受ける。残りの4万円は住民税から控除する。ただし、住民税については、その所得割の10%を限度として控除する。2015年度の税制改正で、住民税の所得割の基準を10%から20%に引き上げた。この改正は16年度分以後の個人住民税について適用する。ふるさと納税は、所得税の確定申告をして所得税から控除し、または還付を受けることを前提にしている。しかし、手続きが面倒であると考える人は多い。そこで、15年度の税制改正で、ふるさと納税ワンストップ特例制度を創設した。具体的には、ふるさと納税の特例を受ける以外は確定申告を要しない人に対し、当分の間の措置として、(1)確定申告を行わない人は、寄附をする際、住所地の地方団体に対するふるさと寄附金についての住民税からの控除申請を、ふるさと寄附を受ける地方団体が、寄附者に代わって行うことを要請できることとする、(2)この要請を受けた寄附を受ける地方団体は、控除に必要な事項を寄附をした人の住所地の地方団体に通知する。ただし、寄附した人が確定申告をした場合または六つ以上の地方団体に寄附した場合は、この特例は適用されない。この規定は、15年4月1日以後にする寄附について適用される。なお、ふるさと納税を受ける地方団体間の競争が過熱しているので、政府はふるさと納税に係る周知、募集等を適切に行うよう、地方団体に対して要請することにしている。