税金は現金での納付が原則。しかし、相続財産の大部分が不動産などの場合は期限内に現金で納付することができない。そこで、延納と物納という特例を設けている。延納は、納付税額が10万円を超えること、金銭で一度に納めることが難しい理由があること、原則として担保を提供すること、納期限までに延納申請書を提出することが要件。延納期間は、相続財産がどのような財産で構成されているかにより異なり、原則として5年~20年以内で認められる。年賦で支払い、本税のほか金利を意味する利子税がかかる。物納は相続税の納付の特例で、延納によっても金銭で納付することが困難な事由がある場合に 納税義務者の申請により認められる。納付すべき税額から換価が容易な財産、生活費など控除した金額やその後の生活費などを考慮した延納資金を考慮して決定する。物納の対象になる財産は、相続財産のうち国債、地方債、不動産、船舶、社債、株式、動産など。このうち、国債、地方債、不動産、船舶があればこれらの財産を優先して物納に充てる。収納価額は、原則として、相続税の計算の基礎となった評価額による。2013年度の税制改正で、物納の不適格財産として、地上権、賃借権その他の権利が設定されている不動産で、その権利を有する者が(1)暴力団員その他一定の者(暴力団員等)、(2)暴力団員等が役員となっている法人、(3)暴力団員等が事業活動を支配する者である場合を規定した。暴力団員等が役員となっている法人または暴力団員等が事業活動を支配する法人が発行した株式も物納の不適格財産とする。17年度の税制改正では、優先して物納に充てることができる財産として、新たに金融商品取引所に上場されている株式、社債、証券投資信託等の受益証券等を加えることとする。