売掛金や貸付金などの金銭債権が回収できなくなった場合には、貸し倒れ損失として損金の額に算入する。貸し倒れ損失は、会社更生法などの規定で切り捨てられることになった場合、法的な整理によらない場合でも、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し弁済を受けることができない状態になった場合などの事実があれば認められる。貸し倒れ引当金は、貸し倒れ損失に至らない場合で、回収が危ぶまれる状態になった場合に計上が認められる。例えば、債務者が不渡り手形を出して手形・小切手の取引が停止された場合には債権金額の50%を貸し倒れ引当金に計上することができる。このような状態でなくても、過去の貸し倒れ割合に基づいて貸し倒れ引当金の計上を認める規定もある。2011年度の税制改正で、銀行、保険会社、リース会社などに限定して貸し倒れ引当金の計上を認めることになった。ただし、資本金が1億円以下の中小法人(資本金5億円以上の親法人の100%の子会社を除く)、公益法人等、協同組合等、人格のない社団等については、従来どおりの引き当てを認める。したがって、例えば期末資本金が1億円を超える製造業を営む大法人が抱える不良債権は、貸し倒れ損失の計上基準に達しない限り、法人税の損金にすることはできなくなっている。