中小零細事業者の事務負担に配慮して設けられた制度。基準期間(原則として法人は2事業年度前、個人は2年前)における課税売上高が1000万円以下の事業者には消費税の納税義務を免除する。ただし、その算定の方法は、国によって異なる。例えば、フランスやドイツは前暦年の売上高と当暦年の売上高で判定する。日本の事業者免税点制度では、例えば会社を設立した2年前は年換算で500万円の場合は、その後急激に売り上げを伸ばして2年後の事業年度で8000万円の売上高になっても消費税を納める義務はない。これには、消費税の納税義務の判定時期が古すぎるという批判があった。そこで、2011年度の改正で、(1)個人事業者は、その年の前年1月1日から6月30日までの間の課税売上高、(2)1年決算法人は、前事業年度開始の日から6カ月間の課税売上高、つまり直前期の前半6カ月の課税売上高が、それぞれ1000万円を超える事業者(年換算で2000万円)については、事業者免税点制度を適用しないこととした。この判定に当たり、課税売上高に代えて給与の金額を用いることができる。さらに、12年度に制定した消費税率10%アップを定めた社会保障の安定財源確保法では、資本金1000万円未満の新設法人に関する免税点制度について、5億円超の課税売上高を有する事業者が、直接・間接に支配する法人(親族、関連会社等を含めた資本の持ち分比率が50%超の会社)を設立した場合には、その設立された法人の設立当初2年間については、課税事業者とする。この改正は14年4月1日以後に設立される法人について適用する。