2009年の税制改正で、土地の需要の喚起を促すための税制が導入された。その要件は、(1)09年1月1日から10年12月31日の期間に土地等を取得することと、(2)その取得の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までに、この特例の適用を受ける旨の届出書を税務署長に提出していること。この(1)、(2)の要件を満たして、その取得の日を含む事業年度終了の日(個人は12月31日)後10年以内に、その事業者が所有する事業に使っている別の土地等を譲渡した場合は、その譲渡益の80%(先行して取得した土地等が10年1月1日から同年12月31日の期間内に取得した場合は60%)を限度として先行取得した土地を圧縮記帳をすることができる。例えば、09年6月に土地等を4億円で取得し、その8年後にこれとは別の土地等を5億円(取得価額は3億円)で譲渡したとする。その譲渡益の2億円が課税の対象になる。この特例は、譲渡益の2億円とその80%である1億6000万円を相殺し、課税額を4000万円とするもの。経理処理は、1億6000万円を損失として計上するが、これを先行取得した土地等の取得価額4億円から控除する。その結果、取得価額を4億円から2億4000万円に圧縮するので、この経理方法を圧縮記帳という。将来、この4億円で取得した土地を例えば10億円で譲渡した場合は、特例の適用を受けない場合は6億円が課税対象になる。しかし、この特例を受けた場合の課税対象は、10億円から2億4000万円を控除した7億6000万円になり、圧縮記帳した1億6000万円がこの段階で課税される。このように圧縮記帳は免税ではなく、課税の繰り延べを意味する。この特例は、法人と個人のいずれもが適用を受けることができるが、個人は不動産所得、事業所得、山林所得を営む者に限って適用がある。