個人の投資家の上場株式等に対する一定額の投資による配当や譲渡所得について非課税にする制度。上場株式等の配当所得や譲渡所得等の税率は、2014年1月1日から本則の20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)に戻っている。その緩和策として、「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」(NISA)が設けられている。その年1月1日において20歳以上である個人が対象になる。
非課税の対象となる配当等および譲渡所得等の範囲は、
(1)非課税口座に非課税管理勘定を設けた日から、同日の属する年の1月1日以後5年を経過する日までの期間(非課税期間)内に支払いを受けるべき非課税口座内上場株式等の配当等
および
(2)非課税期間内に金融商品取引業者等への売委託等による譲渡をした場合におけるその譲渡に係る非課税口座内上場株式等の譲渡所得等
である。14年度の税制改正で、非課税管理勘定を他の非課税口座へ変更することも可能になった。これまでは、1年の投資額は100万円以内で、500万円の非課税投資が可能であったが、15年度の改正で1年の投資額を120万円以内に拡大した。これとは別に15年度の改正で「ジュニアNISA」の制度を創設した。その年1月1日において20歳未満の個人についてNISAと同様の非課税措置を設ける。1年の投資額は80万円以内。未成年者口座で運用するが、運用益である配当や譲渡収入は課税未成年者口座で管理しなければならない。「課税未成年者口座」とは、未成年者口座を開設している金融商品取引業者等の営業所に開設した特定口座、預貯金口座、預かり金の管理口座のこと。その年3月31日において18歳である年(基準年)の前年12月31日までは、その資金を未成年者口座での投資に用いる場合を除いて、課税未成年者口座から払い出すことはできない。未成年者が20歳になった場合はNISAの取り扱いに移行する。
17年度の税制改正では、上記のNISAが積立型の投資に利用しにくいことから、非課税累積投資契約に係る非課税措置を新設し(つみたてNISA)、従来からあるNISAと選択できることとする。積立期間は最高20年、非課税の対象となるのは、公募等株式投資信託の配当等と公募等株式投資信託の受益権の譲渡による譲渡所得等。非課税累積投資契約とは、金融商品取引業者等と締結した公募等株式投資信託の受益権の定期かつ継続的な方法による買付け及びその管理に関する契約をいう。その主な契約内容は、公募等株式投資信託の受益権の管理は累積投資勘定で行うこと。
累積投資勘定は、
(1)18年から37年までの各年のうち、NISAの非課税管理勘定が設定される年以外の年に設けられるものであること
(2)原則としてその勘定設定期間内の各年の1月1日において設けられること
(3)累積投資勘定には、信託期間の定めがないか、または20年以上の信託契約期間が定められており、かつ、収益の分配は原則として信託の計算期間ごとに行うこととされており、月ごとに行うこととされていない公募等株式投資信託の受益権のみを受け入れること
(4)信託財産は、複数の銘柄の有価証券または複数の種類の特定資産に対して分散投資をして運用を行い、かつ、一定の場合を除いてデリバティブ取引への投資による運用を行わないこと
(5)1年当たりの投資額は40万円を超えないこと
などの要件が設けられている。
18年度の税制改正では、NISAの非課税口座を開設する場合に、従来の非課税口座開設届出書によるほか、簡便な非課税口座簡易開設届出書によることが認められることになった。