例えば、賃貸用住宅を新築するとその支払額に消費税が課税される。半面、住宅に対する家賃の収入については、消費税は非課税とされるので、新築した賃貸用住宅について支払った消費税を仕入税額控除することができない。つまり、還付を受けることはできない。しかし、消費税の計算の仕組みを利用すれば還付を受けることができる。その方法は、新築した賃貸用住宅の前に自動販売機を設置して、例えばウーロン茶やジュースなどを販売する事業を始めること。この事業の収入は消費税の課税の対象になり、非課税事業である住宅の賃貸事業と組み合わせることにより、新築した賃貸用住宅について支払った消費税の一部の還付を受けることができる。この場合、個人が新たに事業を開始しても原則として2年間は免税事業者になり、免税事業者の期間に賃貸用住宅を新築しても消費税の還付を受けることはできない。そこで、免税事業者であっても消費税の課税事業者を選択する制度を利用して課税事業者になり、消費税の還付を受け、その翌年に自動販売機の事業を廃止するというウラ技を使う。このウラ技は、消費税についての租税回避の問題として話題になった。このウラ技に対処するために、2010年度の税制改正で、税抜き100万円以上の固定資産を取得した場合、例えば賃貸用住宅を新築した場合には、その取得、新築した課税期間を含む3年間は、課税事業者でなければならないと改正した。また、この期間に簡易課税への移行は認めない。この規定は、10年4月1日以後に消費税の課税事業者の選択をする課税期間から適用する。