2011年度の税制改正で提案したが、自由民主党の反対で成立しなかった。憲法30条は国民の納税の義務を規定しているが、納税者の権利は規定していない。11年に提案された改正法案では、国税庁長官は、質問検査権、調査の事前通知、不利益処分をする場合の理由の提示など17項目について、平易な表現を用いて簡潔に記載した納税者権利憲章を作成して、これを公表するとしていた。税務調査に際し、納税者と調査する税務職員の間には、税法に関する知識、手続きなどについて圧倒的な情報格差がある。税務職員が違法な調査をしてもその行為が、税法の規定に反するかどうかを判断することができないことが多い。納税者権利憲章は、この格差を補い、納税者の権利を明確にするもの。すでに同様の制度は、フランス、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカ、アイルランド、スウェーデン、オーストラリア、韓国、トルコ、オーストリア、スペイン、イタリアなどで制定されている。