住民票や年金、雇用保険など複数の機関にある個人情報を、12桁の個人番号(マイナンバー)で一元管理する制度。2009年の政権交代以前の自民党政権時代は、納税者番号制度と言われており、納税者の所得や資産を把握するためのものと位置付けていた。民主党政権では、真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障を充実させるために利用するとし、そのために所得税や法人税の所得の把握などにも利用するとした。つまり、社会保障と税のための情報インフラが社会保障・税番号制度である。法案は2013年5月に安倍内閣の下で成立した。「マイナンバー法」ともいう。16年1月から使用が始まった。年金、労働、福祉、医療などの社会保障分野のほか、税や災害対策の分野で利用する。つまり、当面はこれらの3つの行政分野についてだけ使用し、民間と民間の間での取引には使用しない。税の分野では、例えば役員や使用人に給与を支払う事業者は給与所得に関する源泉徴収票を発行するが、個人番号は税務署に提出するものについてだけ記載し、本人に交付するものには記載を省略する。ただし、この番号制度には様々な課題があり、マイナンバー法附則6条では検討すべき事項を規定している。例えば、(1)この法律の施行後3年をめどとして、個人番号の利用、情報提供ネットワークシステムを使用した特定個人情報の提供の範囲を拡大すること、特定個人情報以外の情報の提供に情報提供ネットワークシステムを活用することができるようにすることなどを検討し、必要がある場合は国民の理解を得つつ所要の措置を講ずる、(2)この法律の施行後1年をめどとして、個人情報が確認できる「マイ・ポータル」(情報提供等記録開示システム)を設置するとともに、年齢、身体的な条件その他の情報提供等記録開示システムの利用を制約する要因にも配慮した上で、その活用を図るために必要な措置を講ずることなどを検討するとしている。マイ・ポータルで提供される情報の詳細については今後、検討される。