2012年度の改正は、(1)同年度の歳出を裏付ける歳入を確保するための税制改正と、(2)消費税の税率アップの改正、及びこれとともに行う他の税制の抜本的な見直しの改正(素案)を予定している。(1)の改正は、11年度の改正で積み残したものと、新規に提案するものに分かれる。(1)の積み残しの代表例は、給与所得控除や退職所得課税の見直し。新規の提案としては、経済成長を促すための研究開発税制の延長や拡充、自動車に課税する自動車重量税など車体課税の見直し、高齢者が保有する資産を若年世代へ早期に移転させるための贈与税の軽減措置の延長、国際的な税逃れを防止するための国外財産の把握に関する制度の整備などがある。(2)の抜本的な見直しは、消費税率の5%から10%へのアップ、課税所得が5000万円を超える部分についての所得税の税率を45%(現行40%)とする改正、11年度の改正で積み残した相続税の増税措置の改正などを目指している。これらの改正は、14年以降に実施する。ただし、衆議院と参議院のねじれ状態が続く状況は変わらないので、改正法案が成立するかどうかは不透明。改正される場合でも改正時期が遅れる可能性が高い。