安倍晋三首相は2013年10月1日、14年4月1日からの消費税(地方消費税を含む)の8%へ税率アップを表明した。同時に、「民間投資活性化等のための税制改正大綱」を発表した。税制改正大綱は税制改正の指針を示すもので、通常は12月に発表する。10月1日の税制改正大綱は、民間投資を活性化させるために税制を活用しようとするもので、安倍首相のアベノミクスの三本の矢の1つである「成長戦略」の一翼を担うもの。具体的には、先端設備への投資、ベンチャー企業への投資、経営改革の促進、省エネ投資、所得の拡大の促進などに資する税制を創設または拡大する。12月の税制改正大綱では、デフレ脱却と日本経済の再生に向けた税制措置、自動車に対する課税の見直し、地方間の税収偏在の是正、高所得者の給与所得控除の見直し、東日本大震災の復興支援のための税制における支援措置、税務署の行政処分に対する納税者の不服申し立て制度を創設または改正するとしている。これらの措置は、13年度の税制改正と同様に、消費税の税率アップを確実にするための措置でもある。消費税の税率は15年10月1日から10%にアップすることが予定されているが、日本経済を失速させないことを念頭に置いた税制改正である。